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映画を観た帰り道

写真家の島尾伸三さんの著書「生活」の中に、「映画をみた帰り道」というタイトルの短い文章がある。ひとりで映画館を出たあとのことばにできない感覚。それを表現している素晴らしい文章だと思う。ふたりでなくてひとりでみたあとの映画の余韻。映画をみる前の現実になかなか引き戻せないふわふわした一時。以下引用。『ポルノ映画と二本立てになっていた「2001年宇宙の旅」を場末の小さな映画館で一人で見た帰り道、男は銀行のコンクリートの壁が覆いかぶさる路地を抜け、商店街へ出たところで、景色が言葉と形の相対性を失っていることに気づきました。下駄屋に果物が並び、書店の棚に下駄が詰め込まれているのです。〜中略〜 遠目には相変わらずの商店街なのに、近づくとどこも様子がおかしいのです。この感じはプールサイドでの目眩を思い出させます。泳ぎ終わって水から出て、紙や顔の水をぬぐいながらふと見回すと、これまで水の中で夢中になっていたこととはまったく別の、ゆったりとした景色が陸には広がっていたことに気づき、その中へ一刻も早くなじもうと、温かい陸の景色の中へ身も心も溶かし込んでいくのに似て、これまで彼はその動機をどこかへ忘れたまま泳ぐことにとらわれすぎていたのです。いま、陸の空気を再び思い出しているところなのです。〜中略〜』島尾伸三『生活 照片雑文』より

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